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背景と課題
近年、日本の農業は大きな課題に直面しています。特に、就農人口の減少と地球温暖化による気候変動が影響を及ぼしており、これまでの農業手法では十分に対応できない状況が続いています。温暖化の進行に伴い、従来の農業経験則が通用しにくくなり、病害虫の発生や適切な施肥のタイミングを判断することが難しくなっています。
これらの課題に対して、NTTグループは先進的な技術を駆使し、スマート農業の推進を目指しています。

取り組み内容
この実証実験は、NTTグループ、ふくしま未来農業協同組合、日本農薬の3社が共同で進めており、ドローンとAI技術を活用した「スマート営農ソリューション」の検証が行われています。主に以下の3つの技術を活用し、収量と品質の向上を目指しました。
- スマート生育診断・追肥センシング for アグリ
ドローンを使用し稲の生育ステージを撮影し、その画像データをNTTグループのAI技術で解析します。これにより、最適な追肥タイミングを特定し、経験則に頼ることなく正確に施肥が行えるようになります。 - スマート病害虫診断・対処
ドローンで撮影した広範囲の稲の画像をAIが分析し、病害虫や雑草の早期発見とその対処方法を提供。これにより、農業従事者が直面する判断ミスや対応の遅れを防ぎ、収穫の安定化を実現します。 - スマート病害虫予測・対処
AI技術「corevo™」を活用し、病害虫発生の予測を行うため、ドローンで収集したデータを分析します。これにより、予測精度を高め、早期の対応が可能になります。さらに、農薬散布のタイミングも最適化され、農薬の使用量削減が期待されています。


成果と効果
実証実験の結果、次のような成果が得られました。
- 収量が最大30%増加
- 品質向上(特に糖度や色合いなど)
- 農薬使用量の削減品
- 農業従事者の作業負担軽減(従来の手作業や経験則に依存しないため、作業効率が大幅に向上)
これにより、農業従事者はより効率的に作業を進めることができ、収穫量の安定と品質の向上を実現することができました。

今後の展開
本実証実験で得られた知見をもとに、福島発のスマート農業技術は日本全国や東南アジア地域など海外への展開も視野に入れて検討されています。さらに、他の農作物や水稲品種への応用を進めることで、農業の生産性向上に貢献していきます。

地域との協力
実証実験では、福島県南相馬市の協力を得て、地域との連携が強化されました。門馬和夫市長は、「この技術が地域の農業に革新をもたらし、今後全国に広がることを期待しています」と述べ、地域の発展に大きな意義を見出しています。

お客様の声
福島県南相馬市 門馬和夫市長
「本市の農場で行われているこの実証実験は、地域農業にとって非常に重要であり、将来的に日本全国へと広がる可能性を秘めています。これにより、新たな農業の未来を切り拓いていくことができると確信しています。」

関連リンク
報道発表資料

