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高知県

紫外線発光光源によるデータ駆動型の病虫害防除

高知IoPクラウドを活用し、農作物の病虫害被害を防止する新たな防除技術の確立

取り組みの背景

近年、日本の農業現場において、温暖化などの影響により病虫害による被害が拡大していますが、農林水産省「みどりの食料システム戦略」にて2050年までに化学農薬の使用量(リスク換算)を50%減らすことが目標として掲げられており、農作物の病虫害被害を防止する新たな防除技術の確立が求められています。そのような中、NTTアグリテクノロジーでは、従来の化学農薬に代わる物理的な防除技術である「紫外線発光光源」を用いた病虫害防除の取り組みを進めており、毎日一定条件で照射し続けることで、一定の防除効果を見込むことができました。一方で、生産者の電力代増加に伴う経済的負担も考慮する必要があることがわかってきました。

実証実験の目的と内容

取り組みの背景を受け、高知県の「データ連携基盤活用実証事業委託業務(一般型)」公募型プロポーザルで長尾商会・プラットフォーム・NTTアグリテクノロジーの3者による共同企業体として提案し、県の採択を受けました。そして、施設園芸が盛んな高知県の生産者と親和性の高い紫外線発光光源を活用したデータ駆動型病虫害防除に関する実証に取り組むこととなりました。

本実証にて、高知IoPクラウドと連携し、同クラウドにて収集される環境データと組み合わせることにより、より効率的な紫外線発光光源の活用に向けた検証を行い、電力コスト削減や化学農薬削減による負荷低減、持続的な農業生産を実現することを目的とする、新たな防除技術の確立を目指しています。

ハウス外観
紫外線発光光源(ハウス上部)
ハウス内観

成果

高知県立幡多農業高校にあるトマト圃場を実証フィールドとし、紫外線発光光源を用いた病虫害防除に関する実証を行った結果、従来は紫外線発光光源を毎日一定条件で一定の時間照射する電力コストの負担が大きくなる課題があるところ、圃場の環境・状況に合わせて適切な照射制御することで、生産者のコスト負担の軽減や防除効率の向上が見込めることがわかりました。

具体的には、高知IoPクラウドと連携することで、実証圃場に設置したカメラやセンサー機器で収集した圃場内の環境データ(温湿度や捕虫シートの画像データなど)をクラウド上で確認・分析できる仕組みを作り、データを基に圃場の状況に応じた紫外線発光光源の照射を実施します。さらには、病虫害に詳しい専門家にも協力いただくことで、高知IoPクラウド側から病虫害防除に最適な紫外線発光光源の照射制御ができる仕組みを整備しました。

地域との連携

本取り組みを通じ、紫外線発光光源による防除技術を通じた農業振興につなげ、高知IoPクラウドの更なる県内への普及拡大、全国の自治体の参考となるようなプロジェクトへの昇華を目指します。

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